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引っ越しが終わってやっと一息ついた頃、娘のかんしゃくが爆発した。
発達障害児は環境の変化に弱いのだ。
引っ越しなど特に注意を払う必要がある。
だから隣の駅に引っ越した。
学校もそのまま同じ環境を整えた。
それでも家の構造やちょっとした違いを受け入れるまで2ヶ月間切れ続けた。
私の両手は傷だらけになった。
娘は私の腕に爪を立てて血が出るまで握りしめて「死ねクソばばあ」と言い続けた。
愛する我が子とか言うけど、殺されるかも知れないという恐怖の方が強かった。
合気道を4年も続けている娘は、急所を的確につかむのだ。
手首がしびれて動かない日もあった。
キレだしたら1,2時間は続く。
ただ蹴られ殴られ続けるのだ。
いろんな方法を試したが、結局治らなかった。
私がバカだから上手くいかないのだろう。
子宮筋腫の位置にけりを入れられると出血が止まらなくなる。
今も11日間連続で出血している。
胃の上部に蹴りを入れられると、喉の奥がつぶれるような感覚になる。
初めて知った。
時には苦しくて涙が止まらない日もあった。
娘は私の姿を見て「みっともねえババア」「死ね」と連呼する。
本当に嬉しそうだ。
私の動きが止まると「優しくして」「ぶたないで」と叫び、まるで私が虐待しているかのように振る舞う。
だから私は絶対に助からないのだ。
何があってもそれは私が悪いのだ。
そうやって人を殺そうとする人間がいることを私は知っている。
学校でいじめにあっている人の気持ちがよくわかった。
救いが無いのだ。
絶望しかない。
引っ越し先の安アパートは音が筒抜けで、私たち親子は邪魔者になった。
お金が無い。次の場所などあるはずも無かった。